ポロンちゃんは1960年に誕生した赤ちゃんのためのおもちゃ「おきあがりこぼし」です。
昭和のベビーブームでは出産祝いの定番として、絶大な人気を誇り、子育て世帯から親しまれるおもちゃでした。当時は様々な形状でたくさん製造されていました。

1969年には、某国民的アニメの漫画連載が開始し、その主人公誕生のヒントとなったのがポロンちゃんでした。(実際に発売された漫画や映画にもポロンちゃんが登場) 

材質や表情に変更を重ねながら現在まで親しまれていたポロンちゃんは、2021年に昭和レトロブームが到来しケンエレファント社が発売する「昭和ノスタルジック」ミニチュアコレクションよりポロンちゃんのカプセルトイ第一弾が発売されました。長年親しまれてきたポロンちゃんのファン層は厚く、カプセルトイも人気になり、その後はポロンちゃんだけのカプセルトイも発売されました。


発売元:株式会社ケンエレファント

そんな長年「おきあがりこぼし」として愛されたポロンちゃんも、2023年に最後の国内製造工場が廃業となったことを機に「おきあがりこぼし」としてのポロンちゃんの引退が決りました。中国での生産も検討はしたのですが、職人さんが一つ一つ手作りで「美しい音色」を出していたポロンちゃん。この音色の継承が困難であることが引退の大きな理由となりました。

音色にこだわっていたポロンちゃん。ただこのまま無くなってしまうのは勿体ないとの多くのお声をいただき、ポロンちゃんの「第二の人生」として、キャラクター化(IP化)のプロジェクトが始動しました。

昭和・平成・令和と、子どもたちを温かく見守り「転んでも、起き上がる」大切さを伝えてきた「ポロンちゃん」今年で65周年を迎えるポロンちゃんのキャラクターとしての新しい挑戦が始まります。

ーーポロンちゃんの誕生のきっかけは?

1960年代当時、日本中で赤ちゃん用のおもちゃとして起き上がり人形が数多く作られていました。一般的にセルロイド製でしたが発火の危険性が見つかり、ポロンちゃんは素材をアセチに変更。安全性に配慮した赤ちゃん用おもちゃとして誕生し、多くの人に親しまれました。可愛らしいお顔と美しい音色が特徴で、ポロンちゃんという名前も元々、一般家庭で親しみを込めて音色から「ポロンポロン」と呼ばれていたのが由来です。

ーー赤ちゃんの情操教育なども考えられた商品だったのでしょうか。

音に癒し効果があるという分析結果が残っています。大きな目も赤ちゃんの視覚的に認識しやすく、触れるとゆらゆら反応し、転がって遠くへ行かないため、赤ちゃんが自分で遊びやすいおもちゃでした。

ーー爆発的に普及したきかっけは?

発売当初から斬新で可愛らしいデザインが人気でした。当時は第二次ベビーブーム(1971年〜1974年)であったこと。また、倒れても起き上がる様子が縁起が良いとされ、昭和の出産祝いの定番として贈られていたことも、普及を後押ししたと思われます。

ーー終売発表後の反応は?

どこで買えるのか?というお問合せをたくさんいただきました。Xに投稿した最後の出荷の映像は52.4万回再生され、「ポロンちゃんにはお世話になった」「寂しい」「あの音色がきけなくなるのは悲しい」「64年間おつかれさま」などのお声もいただき、多くの人から愛していただいていたことを実感しました。 また、「親子3代に渡って引きついだ」(30代女子)など、世代を越えて愛されている様子を聞くと、大変うれしいです。